以前から興味があったポイントに八幡平のアパッチと呼ばれる急斜面
がある。あかひとは某BBSで幾度となくアパッチの話題を取り上げてきたが今回やっとアパッチ突撃隊を結成してやっつけてきたのでレポートしたいと思う。
アパッチは写真で見てもらうとわかるように岩肌がむき出しになった滑り出し40〜50度の急斜面
で、ドロップポイントまでのアプローチは茶臼岳からかアパッチ下からの直登のどちらかになる。八幡平ではパウダーガイドのオーディションをしたりするコアな急斜面
である。
突撃隊は当初僕と関東組のあかひ、いしださん、ゆうじ、仙台組のぬまさん、おさむの計6人と撮影隊として関東組のちさちゃん&その友達という予定だった。ところがいしださんが急遽不参加となりちさちゃん友達も同じくキャンセル。。。結局僕を含めて5人編成プラス地元組としてはこちゃん、たくぼんずの7名ででアパッチに乗込む事になった。
当日は天気も良く風もない、そして気温まで高いツアー日和。とはいうものの本日の目的はツアーではなくアパッチ。八幡平スキー場の駐車場ではこちゃんと関東遠征組を待つ。8時10分ゆうじの運転するノアが遠征組全員を乗せて到着。初めて絡むメンバーと軽く挨拶をかわして準備をしていると、別
グループにひであき発見。ひであきグループからひであきとてらの2名が急遽アパッチ突撃隊に参加で、総勢9名のの突撃隊になった。
まずはアパッチの下見をしに裏恵比須(ローカル名平山)へ行くことにした。
裏恵比須からみたアパッチは良い感じに雪がつき 全景を下から望み突撃隊&撮影隊がそれぞれインスペクションした。僕はとりあえず写
真を撮り滑る斜面のイメージをふくらます。それぞれが自分のイメージを固めつつメンバーで斜面
に対する注意点を出し合う。それぞれが意識を高めまずはアパッチを後にする。第2リフト乗り場で遅れて到着したたくぼんずと合流して茶臼岳に向かった。
茶臼岳へは普通1時間尾根沿いをハイクするお散歩気分なのだが、今回はやたらとペースが速い。トレースもがっちりこれでもかと言うくらい付いていたので多少は速くなるんだろうが、それにしても速過ぎ。登山マラソン状態の35分でピークまで行ってしまった。メンバーのテンション実は上がりまくりだったのか、、、、ひであき曰く最速ハイクだったらしい(笑)茶臼ピークは360度見渡せる素晴らしい天気。多少風はあったがサイコーのロケーション。関東組から「あぱっちどっちですか〜〜?」の声にテンションが更に上がる。目の前に迫ったアパッチに向かうべくさっさとメンバー準備にかかる。茶臼岳からの滑りは最近積雪がほとんどなかったせいかあまり良いとは言えなかったが、それでも選べばそれなりのラインをとれた。そしてついにアパッチのドロップポイントへ到着した。
アパッチという名前はどうやら地元で誰かが呼びはじめた名前らしいが実はこれは定かではない。というのも何年か前にあかひといしださんと某BBSで話題にしていた頃、僕がどっかのHPで地元ではアパッチと呼ばれているらしいというのをみて、そうかあそこはアパッチって言うのか....と勝手に思っていた。ところが僕の八幡平で遊んでる友人達からアパッチの名前を聞いた事がない・・・・(笑)不思議なのだが、まあ今回はアパッチと呼ぶ事にする。
アパッチの核心部は写真の通り岩肌丸出しのアドレナリン全開の斜面である。思い思いにドロップポイントを探しながら下から見たイメージを思い出しそれぞれラインを決めて行く。そしてまずはあかひがドロップ!
最後の写真の3番のラインを力強く降りていく。さすがあかひ。マチガでならしたルンゼ滑降の足前は伊達じゃないですね。メンバーからの「うお〜〜!」とわけのわからない奇声の中、無事滑降終了!そして次はひであきがドロップ。あかひと同じラインを滑降。上からちょうど見えなくなる所で少し手間取ったらしいが無事に滑りきったのが見えた。一同拍手喝采。
次ははこちゃん。
みんな次々降りていくメンバーの滑走ラインを自分のラインと照らし合わせながらテンションをあげて行く。そしてはこちゃんがドロップ。この時雪屁の上からドロップするはこちゃんに誰も気がつかなかった。はこちゃんはバランスを崩し前から落ちてしまう。
「あっ!」
その瞬間はこちゃんの体は重力に逆らえず50度の斜面を転がり落ちて行く。その先には岩肌がむき出しになったノド・・・白い雪煙の中かすかに見えかくれするはこちゃんの体。岩に激突しない事だけを祈りメンバーは息を飲む。。。そしてやっと止まる。動くか?・・・・動いた!なんともないようだ。一同ほっと胸をなで下ろし改めてこのヤバい斜面
の恐ろしさを実感する。後で撮影していたビデオを確認してみると4番の赤いラインの距離を転がって落ちていた。このとき全員が御祭り気分から抜け出し意識を集中した。
そしてゆうじ!はこちゃんの後と言うプレッシャーの中ドロップ。逆に冷静になれたのかすばらしいラインを刻む。危なげなく滑降終了。そして次々メンバーがドロップして行く。写
真を撮りながら自分のテンションを上げて行く。そしてドロップポイントへ移動。
最初2のラインを自分では行こうと決めていた。がなんとなく斜面の感覚をつかめていない自分とはこちゃんの事・・・・ぬ
まさんが1のラインを選んでいたのでそちらへ移動。同じラインを行くことにした。もう一度デジカメで全景を確認。危険なポイントを再確認してドロップポイントからトレースをイメージする。最初にぬ
まさんがドロップ。ターンを二つ刻んだ所で大量のスラフが流れる。スラフを落として一番の細い部分をクリアそして華麗なテレマークターンを決めてリズムよく降りていく。上から見ていてもカッコよかった。そしてそのトレースに自分のイメージラインを重ねる。違うラインを行こうと思うが下のメンバーからのダメ出しもあり(ゆうじはいいようお!とか言っていたような・・・)結局ぬ
まさんと同じラインを行くことにした。心拍数は上がりアドレナリン指数200%の開放垂れ流し状態。ネジが2、3本弛んだ所でドロップ!狭い急斜面
をショートターンで1回2回3回と刻む。そして一番細い所はフォールラインに向かって一気に落ちる。そしてそのままハイスピードで広くなった斜面
に大きくロングターンを描く。重いがしっかり足元に食い付く雪の感触がたまらない。そしてそのままボトムへ・・・・。思い通
りのラインを刻めた。見上げるとそこにはぬまさんと自分が刻んだトレースが青空から落ちてきている。最高の瞬間!興奮した体がやっと反応し出す。足は震え言葉にならない。。。
こうして1本目は無事終了。安心感と充実感で午前中を終えた。
午前中のアパッチセッションを終えるとゲレ食でお昼をみんなで囲む。それぞれの満足度が2回目の気持ちを吹き上がらせる。そして午後は時間の節約とビデオ撮影をひであきの友人にお願いした事から、アパッチボトムからの直登をする事になった。とはいうもののスノーシューグループはさくさくルートを決めて登っていくが2本板グループはさてどうしたものか・・・ぬ
まさんと相談した結果一番左の松のはえてるルートと直登する事にした。スノーシューグループはあっさり登りきりまだ半分も登ってない2本板@ツボ足軍団を上から笑いながら見下ろしていた・・・・(たぶんもう直登はしないだろうな)
ハイマツの落とし穴にハマりながらも何とか上まで辿り着く。そしてアパッチ2本目を狙う。お昼に時間があった為メンバーはそれぞれすでに自分のラインを決めていた。直登でヘロヘロになった体でドロップポイントまで向かう。その間続々とメンバーが滑り降りていく。僕の2回目の滑降ルートは2番。午前中に滑ろうと思ってやめたルートだ。滑り出しは1番より急で、そしてなんと言ってもその後にくる横に走る岩盤が大きなプレッシャーとなルートだ。最初の急斜面
でスピードがつき過ぎると岩盤の上を横切れなくなる。岩盤から落ちると10mは軽く落ちそうで、しかも落ちる辺りも斜面
は広いが急である。 嫌でも緊張感が高まる。緊張の中ドロップ!うわ!予想以上に深い雪に足を取られて山側に転んでしまう。一瞬午前中のはこちゃんのシーンが頭をよぎる。が、なんとか体勢を立て直し仕切り直し。トレースをイメージし直し再度アタック!スキーをなるべく横に振りながら細い部分へ入って行く。スラフが流れて行く。そして予想以上にうねりのある岩盤の上をトラバース。日が落ちてきて陰になっている為に斜面
が見にくい。なんとかバランスを保ちながら午前中のトレースに合流。ここからは一気にボトムまで落ち込む。胸の高鳴りを感じながら見上げると逆光の中いくつものトレースを刻んでそびえたつアパッチがそこにはあった。
メンバーの所まで戻ると最後のあかひが今にもドロップしそうな状態で待っていた。もともと一番エクストリームに傾倒している彼は、事前に飛びを前提としたルートを選んでいた。ものすごいオーラを放ちながらドロップ。2回ターンをきったところで大きくロングターン。そして飛びのポイント。飛ぶ気満々の状態から、えいや〜〜!!大歓声の中サイコーのトリを飾った。
今回のアパッチ突撃は普段している山滑りとはまた違った色のマウンテンライドでしたが、偶然にも集まったメンバーに感謝。危なかったはこちゃんの1本目、ボトムからのインスペクションが出来なかったにもかかわらず果
敢に攻めたたくぼんず、華麗なテレマークターンを披露してくれたぬまさん、大きな体でダイナミックなスピードあふれるターンのエクストリーマーあかひ、中央で鍛えた滑降技術を披露してくれたゆうじ、堅実で確実なライン取りのおさむ、2本目にサイコーのボードラインを見せてくれたひであき、そしてスピード感あるフリーライド全開のテレマーク滑降を見せてくれたてら・・・・最高のセッションでした。
また機会があったらアパッチセッションしましょう!
|